STORY 〜素敵な物語〜

ここのお部屋は実際にあった、素敵なお話しをみなさんに贈る部屋です

 
 〜ジョンと言う犬〜

 
  

  

  

  

  

  

  
 
written by YOSHIMI(HIME)
Special Thanks To JON 〜my friend forever〜
 
 

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第一話 〜出会い〜

ジョンと言う犬は、ひめがはじめて飼った犬なのです。
私は幼少の頃から本当に動物、特に犬が大好きで自分より大きな犬でも平気で触りたがる子供でした。
でも、子供の時はアパート暮らしで犬は飼えなかったのです。
それに、当時うちの母親は犬が嫌いな訳ではないんだけど、苦手だったのもあって
幼少の頃、飼った動物と言えば、ウサギ、鳥、ハムスターなどでした。

そんなある日、近所で犬の赤ちゃんが産まれたって話しを聞き、さっそく見に行ったのです。
雑種犬でしたが、3匹子犬がいました。私はその飼主の方に頼んで子犬と毎日遊ばせてもらったのです。
当時、私は小学生・・・いじめにあってました。毎日学校に行くのが憂鬱でつまらない毎日を過ごしてました。
そんな私が可愛い子犬と遊ぶのが、毎日の楽しみでした。

でも、毎日遊んでも夕方になると子犬との別れがきます。子犬との別れは寂しかった・・・。
そして、ある日私は決心しました!「お母さんに頼んでみよう!この子を連れて行ってみよう!」・・・と。
そして、一番お気に入りの子犬を連れて、家に帰ってみました。
子犬を抱き「お母さん、犬飼いたいの」って言ってみました。
母は思った通りの答えで、「うちでは飼える訳ないでしょ!」って言われました。
私はしかたなく、その犬を抱いて戻りました。でも、悲しくて悲しくてしょうがなかったのは覚えてます。
その日は食事もとらず、一人泣いてました。

そんな私を見て次の日、母が私に言いました。「犬の世話ちゃんとできる?」って。。。
私は、「うん!大丈夫!!」って元気に答えました。
そしたら母が「飼主さんの所に行こうか?」って言ってくれたのです。
も〜う、私は嬉しくて、嬉しくて(^^)母と一緒に犬をもらいに行きました。
「どの子?」と聞かれ、すかさず「この子」と決めました。
3匹の中で片目が産まれた時から見えない子でした。
でも、なんか私を見る眼が凄く優しかったような気がしたのです。
それが、ジョンでした。もう、それから私のはりきりようったら(笑)
学校行ってる時も早く帰りたくでしょうがなくて。。。

ジョンとの生活は本当に楽しかった・・・凄く頭がいい子で、散歩も引き紐なくても横にピタとくっついて
ちゃんとついてくるし、自分が先に行きすぎたら私が来るのを待ってる子でした。
信号もちゃんと待つ子で、私が辛い事などあった時、ジョンに泣きながら話すと、顔をぺろぺろ舐めて
「元気だしなよ!」って言ってくれてるような感じでした。

でも、ある日、ジョンと私に辛い別れが来るのです。
ジョンとは2度辛い別れを経験してるんですが、これは最初の1度目の別れでした・・・。

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第二話 〜最初の別れ〜

ジョンは本当に、優しい犬でした。それに頭が凄く良かったです。
私にとって、ジョンとの関係は飼主と犬ではなく、最高の友達でした。
子供の頃いじめにあっていた私なんですが、ジョンと暮らす事によって凄く前向きな明るい性格になりました。
そしたら、いつのまにか友達も増え、いじめもなくなったのです。
ジョンとの生活によって、私は毎日充実した楽しい日々を過ごす事ができました。

犬が苦手だった母も、ジョンを飼う事によっていつのまにか犬好きになってました。
家族みんなジョンが大好きでした。

うちの両親は、私が子供の頃、共働きで、いつも寂しい思いをしてたんですが
ジョンがいる事によって、全然寂しくなくなりました。

しかし、そんな幸せな日々も続かなかったのです・・・。
ジョンを飼い始めた頃、うちはアパートで大家さんに内緒で飼ったのです。
うちのアパートは普通のアパートと違い、二階にお部屋があって、下は大家さんの倉庫になってました。
階段の下にスペースがあったので、ジョンの小屋をそこに作り飼ってました。
最初、大家さんは見てみぬふりしてくれてたんですが、近所の犬嫌いの人が「アパートで犬なんて・・・」みたいな事を
大家さんに言って、ついに大家さんから「犬は駄目なんですが・・・」って言われてしまったのです。

うちの両親は悩みました。
そんな時、父のお友達がジョンを見て「いい犬だね〜」って言って
「もし飼えないならうちにもらえないか?」って言われたのです。

両親は悩んだ末、ジョンをその人に飼ってもらう事に決めました。
もちろん、「私は絶対イヤだ!」って言ったのですが、両親に説得され、「ジョンの為にもその方がいい!」と言われ
ジョンは、その人にもらわれる事になったのです。

とうとう、ジョンとの別れの日、私は辛くて部屋にこもってました。
車好きなジョンは、いつも父が車に乗せようとすると喜んで乗るのがその日は凄く嫌がったそうです。
嫌がるジョンを車に乗せ、とうとう行ってしまいました。
車に乗せられたジョンは、いつもめったに吼える事ないのに、物凄く吼えたそうです。

それからの、私はまた、昔の私に戻ってしまいました。ジョンの写真を見て毎日泣いてました。
ジョンは厚木市にもらわれて行きました。私の家は横浜・・・遠すぎる。。。
両親は「ジョンに会いに行こうか?」って言ってくれましたが、私は拒否しました。
子供ながらにジョンは「私の事きっと恨んでるに違いない!」と思ったのです。

ジョンとの別れからだいぶたったある日、ジョンをもらってくれた人から電話がありました。
ジョンが首輪を自分で抜いて、いなくなったと言うのです。
私は心配になりました。

その電話の何日かした後、事件が起こりました。
父が、泣きながら帰って来たのです。そして家族を車の所に呼びました。
行ってみると、な、なんとジョンが父の車に乗ってたのです!私はビックリしました。

そうです!ジョンは厚木から横浜までのみちのりを我が家めざして帰って来たのです。
帰宅途中の父がジョンを発見したのです。
ジョンは、痩せて首には子供にいたずらされたのか、紐がついてました。

もう、家族みんな涙流して喜びました。ジョンは私を見るなり尻尾を振って嬉しそうに私の顔を舐めました。
その時、私は泣きながらジョンに「ごめんね、もう離れないからね」と言いました。

次の日、大家さんの所に両親が行き、事情を話し「迷惑かけないからなんとか飼わせてもらえないか?」と
お願いに行きました。大家さんはありがたい事に了解してくれました。
そしてまた、ジョンとの楽しい生活がはじまりました。

子供の私にとって、もう別れはないと思っていました・・・でも・・・。

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第三話 〜ボディーガード〜

ジョンとの楽しい毎日がまたはじまりました。
でも、最初の別れの前のジョンと少し変わってしまった事と言えば、父と二人では車に乗らなくなった事。
私と一緒なら、喜んで乗るのですが私がいないと嫌がるのです。
やはり、前の記憶があったんでしょうね・・・。

でも、それ意外はジョンは前のように元気いっぱいでした。
私が学校から帰って来る時間、分かってくれてるのか、「ワンワン」と控えめに吼えて母にせがみ
母に放してもらうと、私を迎えに来てくれたのです。
犬を放すのは良くない事なのですが、しかしジョンは特別だったとお許し下さい。
もちろん、放す前に散歩に行き、糞はさせ、ちゃんと処理はしてました。

ジョンは、私だけでなく、当時小料理屋を経営してた母の事も迎えに行ってました。
母が店を閉める時間が分かっていたのか、やはり「ワンワン」とせがみ放すと母の店に行き母の店の前で
じっと座って母が帰るのを待っていたのです。
そして、母が「ジョン帰るよ」と言うと、さも「僕はお母さんを守るぞ!」って感じで一緒に帰って来てたのです。
良く家族みんなで、「ジョンはボディーガードだね」と話しました。

ある日、こんな事がありました。
母は店を早い時間に閉めて、お友達の店に飲みに行ったのです。
母の飲みに行く友達の店は、何軒かあったのですが
ジョンはいつもの通り母の店に行ったのですが、母がいないのが分かるとその友達の店に行き
一軒目で「ジョン、お母さん来てないよ」と母の友達が言うとジョンは二軒目の友達の店に行き
母を探し当てた事があったのです。
なんか、信じられない話しなんですが、事実なんです。
近所では、「ジョンは本当に頭のいい犬だ」って言われるようになりました。

ジョンの話しと言えば、ジョンはコーヒーが好きな犬でした。
本当は犬にコーヒーなんて飲ませてはいけないんでしょうけど、散歩の時にコーヒーをもらうのが
楽しみだったみたいです。いつも、家の近くになるとコーヒーを買う自動販売機の前に座りおねだりしました。

子供にも優しい犬で、人懐っこい犬でした。

そんなある日、私にとって考えさせられる事がありました。
私がいつものように朝、餌を持ってジョンの所に行くと、ジョンがいないのです。
首輪をつけたまま・・・どうやら人の手によってジョンは放されたみたいでした。
家族の人は誰もジョンを放してないと言います。

でも、ジョンはちゃんと帰って来るだろうと思い、その時はそんなに深刻に考えませんでした。
しかし、ジョンは夜になっても帰ってきませんでした。

さすがに心配になった家族はみんなでジョンを探しました。ありがたい事に、近所の人も一緒に探してくれました。
でも、ジョンはどこにもいません。普通のジョンだったら絶対帰ってこれるはず・・・。
ジョンに何かあったのだろうか!とみんな心配しました。

そんな時、一本の電話が・・・。

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第四話 〜悲しい犬達〜

ジョンが突然いなくなり、みんなが心配してた所、電話が鳴りました。
母が電話に出ると、近所のジョンを知る方からの電話でした。
「ジョンがいなくなったと言う事だけど保健所行ってみました?」と言う電話でした。
この何日間か、保健所の人が野良犬を捕まえていたとの事。
「もしかしたら、ジョンは保健所の人に捕まったのでは?」と言う事でした。
首輪を付けてても、一匹で歩いてたら捕まってしまうそうです。

母は、急いで保健所に電話してみました。「茶色の犬で首輪は青、片目が悪い犬です。」と言った所
似た犬がいるとの事、私達は急いで保健所に行きました。

保健所に行き、事情を話し犬達がいる所に、行きました。
私はその犬達のいる所に、入った途端に胸が苦しくなりました。
テレビでは見た事のあった光景・・・でも、目の当たりにすると本当に悲しすぎる光景でした。

犬達は、それぞれ番号がつけられてる部屋に入れられてて、いろんな犬がいました。
私の顔見て、尻尾を振りキャンキャン鳴く犬。牙をむき怒ってる犬。部屋の隅っこで寝てる犬。
他の犬にじゃれてる、まだ子供の犬。ブルブル震えてる犬。本当さまざまな犬がいたのです。
この犬達は、飼主があらわれない場合は、安楽死になります。
しかし大人になった今、私は安楽死だけで終わらない可愛そうな犬達がいるのも知ってます。
本当に、この犬達の運命は悲しいのです。

保健所の方に話しを聞くと、「飼い始めたんだが、大きくなりすぎで飼えなくなったので・・・」とか
「小さい頃は言う事聞いてたんだけど、突然言う事聞かなくなったので・・・」とかそんな理由で
保健所に預けて行く人もいるそうです。
私は、この話しを聞き「悲しすぎる・・・」と思いました。飼主の都合で、簡単に捨ててしまう。
もちろん、どうしても引越しなどで飼えないとか言う方もいると思います。

ある、獣医師さんが言ってました。
「飼主の都合で飼えなくなったのだったら保健所に預けたり、捨てるのではなく自分で殺してしまうべきだ」と・・・。

犬は本当に純粋です。どんなにひどい仕打ちされても飼主の事が大好きなのです。
そんな犬の純粋な気持ちを踏みにじってほしくないです。
「可愛い」と言う気持ちだけでは、犬は飼えないと思います。
犬を飼う時は、それなりの覚悟をして飼ってほしいと思います。

さて、ジョンの話しに戻りますが、ジョンはやはり保健所にいました。
私達の顔を見るなり、「早く出して」と言ってるかのように「ワンワン」と嬉しそうに吼えました。
私は、ほっとしました。ジョンは安楽死まであと一日の部屋にいたのです。
ジョンと一緒に入ってた犬達は自分が、もう駄目なのが分ってたのか
みんな、おとなしく悲しそうにまるくなって寝てました。
私は他の犬達みんな助けたい!って思いでいっぱいになりました。
でも、もちろん無理な事・・・。
私達は、なんとも言えない気持ちでジョンを連れて帰りました。

その日から、ジョンの首輪と鎖には簡単に外せないように、鍵をつけました。
ジョンは、本当に人懐こい犬だったので、知らない人でも平気で触らせたのです。
また、同じ事を繰り返さない為にも、飼主の私達しか外せないように鍵をつけました。
そして、ジョンを放すのも、もうやめました。母を迎えに行く時は私も一緒に行く事にしたのです。

私は、あの悲しい犬達の分も、ジョンを可愛いがろう!と心に誓いました。
ジョン3歳、私が12歳の夏の出来事でした。。。

しかし、この後、私はジョンに対してあやまらなくてはいけない事をしてしまったのです・・・。

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第五話 〜ごめんね〜

ジョンと出会ってから、4年・・・私は、中学生になりました。
もう、昔の私と違い、いじめにあう事もなく、友達もいっぱいできて楽しい毎日を過ごしてました。
学校から、帰って来るとすぐに友達と遊びに行ったり、そのまま学校帰りに友達と遊びに行ったり
家には、ほとんどいない日々だったのです。

私が、学校から帰って来ると、ジョンは「おかえり〜、遊ぼうよ〜」って感じで寄ってきます。
でも、私は「ごめん、ジョン後でね」と言って遊びに行ってしまいました。
いつのまにか、毎日行ってたジョンの散歩も親まかせになり、ジョンの事を私は忘れたとまでは言いませんが
昔のようにかまってあげなかったのです。
それでも、ジョンは私の顔を見ると尻尾を振って喜んでくれました。

そんな日々が続いたある日、ジョンは変な行動をするようになるのです。
ジョンの小屋の上には、散歩の時用の引き紐がおいてあるのですが、それをボロボロに噛んでしまったのです。
それだけではなく自分の水入れ、餌入れを噛んで、ボロボロにしてしまったのです。

引き紐は違う場所に置けば、もうやらなくなりますが水入れ、餌入れはどうにもなりません。
アルミの堅いのにしても良かったのですが、それではジョンの躾にならないからと
あえて、堅いのにはしませんでした。

ジョンは、子犬の頃ならともかく、大人になってからはそんなイタズラするような子ではありませんでした。
私の親が何度も怒っても、全然駄目でした。

その話しを聞いた私はジョンの所に行きました。
やはり、新しく買ったばかりの水入れ、餌入れもボロボロでした。
うちの親には、「ジョンは最近怒っても、全然駄目だから無理だと思うよ」と言われてました。
でも、私は真剣にジョンを怒りました。
ジョンは、黙って私の目を見て私の言ってる事を聞いてました。

その次の日の朝、私は新しい餌入れをジョンの所に置いて
「ボロボロにしては駄目だよ」と言い学校に行きました。
そして、学校から帰って来て、ジョンの所にすぐ行き
餌入れを見た所、そこにはちゃんと綺麗なままの噛み跡一つない水入れ、餌入れがありました。
私は、ジョンを心から誉めました。

そして、私はふと思い、引き紐を前の場所
小屋の上に置いて「これ、噛んでは駄目だよ」と言い、置いてみました。
そしたら、ジョンは引き紐も、もうボロボロにしなくなったのです。

この話しを、昔からお世話になってた獣医さんに話してみた所
きっとジョンは、最近かまってくれなかった私に対して、悪い事をする事によって
私の注意を引きたかったじゃないかな・・・と言われました。

私は、驚きとともに、なんて自分がバカだったんだろうと思いました。
ジョンとの出会いによって、ジョンのお陰で私は性格が変わり
友達ができて毎日が楽しくなったのに、そんな事も忘れて
自分の事しか考えてなかった私・・・本当情けない。

犬って、本当に純粋なんですよね、私がジョンに対して悪い事しても
私を変わらず好きでいてくれて、私の気を引きたいばかりにいろいろする。。。
きっと、ジョンは悪い事、怒られる事と分っててあえて、獣医さんが言ったように
私の気を引くために、やったんだと思います。
犬がそこまで、考えられるかは、はっきり言えませんが、私はそう思います。

忘れてはいけないんですよね・・・

ジョンが私の寂しさをなくしてくれた事。
私を明るい性格にしてくれた事。
家族みんなを守ってくれてる事。
遠い厚木から、ボロボロになって私達の所まで帰って来た事・・・。

私は、ジョンに対して本当に申し訳ないと思い、それからは前のように
いえ、前以上にジョンに愛情を注ぎました。

それからは、何事もなく毎日が過ぎ去って行きました。

そして、ジョンと出会ってから7年・・・とうとう、最後の別れが私達に訪れるのです・・・。

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最終話  〜My Friend Forever〜

ジョンと出会ってから7年・・・私は高校生になりました。
高校に入ってからもジョンとの友情は昔のまま。ジョンと楽しい毎日をおくってました。

ある日、私は事情があり長期、家を空ける事になりました。
と、言っても、親戚の家に行ったんですが、かなり長く行く事になったのです。
ジョンとは最初の別れ以来、長く離れた事ありません。ジョンに私言いました。
「ジョン、当分会えないけど、ちゃんとお父さんお母さんの言う事聞いていい子で待っててね」と

そして行く前に、ジョンを連れてみんなでキャンプに行きました。
花火を怖がってしまい、大変でした。でも川で気持ちよさそうに泳いでるジョン・・・嬉しそうだった。

そして、キャンプから帰った次の日、私は出かけました。
親戚の家からもジョンが心配で電話をしてました。そして何日かしたある日の事
いつものように、自宅に電話すると母が「ジョンが全然ご飯食べないし、元気がない」と言うのです。
私は心配になり、一度家に帰る事にしたのです。
そして、その知らせの電話を母にした時、ジョンがいなくなったと聞かされたのです。
散歩の途中に突然物凄い勢いで走りだし、ビックリした母が引き紐を離してしまったそうです。
いつものジョンなら、呼べばすぐに戻ってきます。
でも母が呼んでも無視してどんどん走って行ってしまったそうです。

その話しを聞き私は急いで帰りました。そしてジョンを探したんですが見つかりません。
また、保健所だろうか・・・と思い、保健所に電話してもジョンはいませんでした。
ジョンは普通だったら、絶対帰って来るはず、保健所にもいないし・・・
どこに行ってしまったんだろうと途方にくれました。
いろいろな手段でジョンを探しましたが、全然ダメでした。

しかし、ジョンはなんで突然走っていってしまったんだろう・・・とみんなで考えました。
もしかしたら、散歩途中に私に似た人を見つけて・・・
なんて事も考えましたが、これはいまだに理由は分ってません。

私はあきらめきれずに、探しました。でもジョンは見つかりませんでした。
私は本当に悲しかった・・・だって、ジョンが生きてるか死んでるかも分らないんだから・・・。
もし、もし、死んでたとしても私はジョンの最後を見守る事ができなかった・・・本当に悔しかったです。
あの、ジョンと一緒に行ったキャンプがジョンとの楽しい思いでの最後になってしまうなんて・・・

そして、ジョンがいなくなって何ヶ月かしたある日
父が、近所の床屋さんに行った時、そこのマスターからビックリする話しを聞いたのです。

「この前、ジョンを見かけたんだ・・・」

実は、ジョンは交通事故に遭い、かなり重症の怪我をしたそうです。
そして、事故現場の近くの親切な人達がジョンを病院に連れて行き
みんなで治療費を出して、ジョンの怪我を治したそうです。
そして回復したジョンはその助けてくれた人に今飼われているそうです。

ジョンが回復してからも私の所に帰ってこない理由も分りました。
もちろん、優しい犬なので良くしてくれた人の側を離れないのもあるのかもしれませんが
事故の時に頭をかなり強く打ったらしく、多分、記憶喪失になったのではないか・・・と言う事。
床屋のマスターがジョンに向かって、「ジョン」と声かけても何の反応もしなかったそうです。
でもこれは、私達の勝手な考えなんですけどね・・・。

そして、床屋のマスターが父に言ったそうです。
「あえてジョンのいる場所を詳しくは教えないから」と
父は、「そうですね」と言いジョンのいる場所を聞いてきませんでした。
ただ、ジョンは私達の住む隣町にいる!と言う事だけは聞いてきました。
私は、その話しを聞き、ジョンに会いたくてしょうがなかったけど
父に説得され会いに行くのはやめました。これは、かなりの葛藤が私にありました。

何日かたったある日、学校の帰り道、向こうから犬を散歩させてるおばあさんが来ました。
私は、ジョンがいなくなってからも、相変わらず犬好きで
散歩してる犬を見かけると良く見てました。

その犬が近くに来た時、私は心臓がドキッとしました。
そうです!そのおばあさんの連れてる犬はジョンだったのです!間違いありません。
片目が悪く、尻尾が太く、赤毛の犬・・・忘れるはずありません!紛れもなくジョンでした。
しかし、ジョンは「チラリ」と私を一度見ただけで、何事もなかったように行ってしまいました。
私は、この時何度「ジョン」と叫んで行きたかった事か・・・
でも、一緒にいたおばあさんも優しそうな、おばあさんで
ジョンはきっと、今幸せなんだろうな・・・と思いそのまま何も言わずジョンとすれ違いました。

そして、ふと思い、振り向いて見るとジョンもこちらを振りかえっていました。
私の気のせいだったかもしれません。でも振りかえっているように見えたのです。
私は涙があとから、あとからこぼれてとまりませんでした。
そして、ジョンは前を向き、何事もなかったように又歩き出しました・・・。

これが、私が見た最後のジョンの姿です。
ジョンは、今生きてる!幸せに暮らしてる!って事、分っただけで私はそれだけでいいと思います。

今、あれから何年もたちます・・・ジョンは、もうこの世にはいないでしょう。
でも、きっと幸せな生涯を過ごしたと思います。

ジョン本当にありがとう・・・
あなたのお陰で、私は明るい性格になり友達もできた、寂しい思いもしなかった、優しい気持ちを知った
ジョンと出会ってなかったら、今の私はないと思います。本当に、本当にありがとう。

いつまでも、いつまでもあなたは私の大切な友達・・・。

END

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